
国内外に顧客をもつ、創業60年を超えるものづくり企業
山陽精工株式会社は、農家の息子だった私の父が大月市にある岩殿山から町を見渡しながらこの地に貢献したいと、26歳で立ち上げた製造会社です。技術者でもなかった父は、大月市内で修行して独立し、人を雇い、設備に惜しみなく投資し、少しずつ会社を大きくしてきました。私自身は27歳で入社し、2018年に社長に就任しました。
事業拡大のターニングポイントとなったのは、バブル崩壊でした。売上が激減し、窮地に追い込まれるなか、取引先と一緒に中国への移転を勧められましたが、「我々は地元に愛される企業を目指そう」と想いをひとつにしました。部品をつくって納める「下請け企業」から脱却したい、自社で製品を開発する製造メーカーになりたいと、苦しい中でも技術や製品開発をしてきました。日本国内でのものづくりにこだわると決めたとき、社員から挙がったのが「自分の子供たちをこの会社に入れたいと思うような会社にしていきたい」という声でした。
金属加工や組立、高温観察装置、医療機器からなる3つの柱
「自分の子供を就職させたい会社」という経営理念を実現するために、独自技術で社会の役に立ちたいと考えました。鉛の入った製品が欧州に輸出できなくなるため、困っているお客様に応えたいとチャレンジして、お客様の求める商品を具現化することができる「高温観察装置」を開発しました。これは900度という高温下で、はんだの様子をカメラで捉えることができる装置です。これは、今でも販売を続けているロングセラー製品となりました。とにかく、お客様のご要望に応えたいという想いでギブアップしせず頑張っていると、不思議なもので、自社製品の評価が高まれば高まるほど、下請けの部品の受注も伸びていきました。現在、当社では製品の開発チームと部品づくりのプロ達が競い合い切磋琢磨しています。二つの柱で事業を展開するなか、創業50周年を向けたタイミングでもうひとつの柱がほしいと、医療機器の分野に参入しました。現在では当社のなかで最も急成長している分野となっています。
付加価値の高い製品づくりで、人々を元気に幸せに
2024年、私たち山陽精工は、創業62年を迎えました。我々の強みは、60年間のものづくりで培ってきた高い技術力と、医療機器づくりに不可欠な世界中の法律に精通していることです。あらゆる業界のお客様に対応できる体制がつくれるよう、ひとつずつ積み上げてきました。あるお客様は当社を「部品づくりの山陽精工」、あるお客様は「医療機器づくりの山陽精工」と認識してくださるように、我々はものづくりにおいて多くの強みをもっています。ただし、今は良い製品を作るだけでは売れない時代です。製品力に新しい仕組みやサービスを付加していくことで、「ものづくりのイノベーション」を起こすことが求められています。付加価値の高い製品づくりを通して、国内外の人々を元気に幸せにするのが我々の目指す道です。
当社がもっとも大切にしているのは、情熱をもった社員たちです。現在、社内では60のプロジェクトが進行中です。そこに、開発のプロ、設計のプロ、加工のプロ、営業のプロなど、数多くのスペシャリストが集結することで、世の中を動かす製品を産みだしています。社内には、夢や希望がたくさん転がっています。そんなたくさんのチャレンジができる環境を用意し、一緒に成長できる皆さんと出会えることを心より願っています。